BLOG「内藤のこうかい診療室」
2025.4.3
感性&思考「患者さんが困っていないときの治療決断」

「痛い」
「噛めない」
「見た目が悪い」
そのような患者さんが訴えている困りごとを解決したり、改善し、生活の質を高めることは、私たち歯科医の重要な仕事です。
患者さんが困っているとき、治療方法の選択で悩むことはあっても、治療すること自体への決断にはあまり悩むことがありません。
それは患者さんも、歯科医も、治療の必要性を共有しやすいからです。
ところが治療すること自体を悩む場面もあります。
それは患者さんが困っていないときです。
歯科医は、患者さんが今気づいていない、(症状として自覚していない)問題点もみえていることがあります。
その問題点について積極的に治療するかどうか、この決断には悩む場面もあるのです。
歯科治療には多くの場合、メリットとデメリットがセットでついてきます。
例えば、痛みが取れるというメリットがあるから患者さんは歯を削るとか、歯の神経を取るとか、歯を抜くとか、苦痛な治療を受けるというデメリットを受け入れることができます。
当たり前ですが、もし何もメリットがないのにとりあえす歯を削る歯科医がいたら、それは受け入れられないでしょう。
何かしらを今より良くするためなら治療を受け入れられるのだとすると、患者さんが困っていない、つまり患者さんは治療を受ける必要性を感じていない場合には、治療の必要性を十分に患者さんに説明し共有しておかなくてなりません。
特に治療結果が不確実な場合や、治療することと生活の質が上がることが、必ずしもリンクしない場合には治療の決断はとても難しくなりますね。
治療に入った結果、患者さんは今まで困っていなかったのに、逆に困り出すこともあり得るのですから。