Q&A LIFE
歯物語

いくつもの
No.011
「楽しいほうを選べばいい」。ミスから始まったパートナーシップ。

あらすじ
当院には、週に1回、半日だけ顔を出してくれる大切なパートナーがいます。「みえるラボ」という屋号で独立した歯科技工士の岩本くんです。
彼との出会いは飛び込み営業でした。初期はミスもありましたが、そこからの彼の「ある行動」が、私たちの関係を深く強固なものにしてくれました。今回は岩本くん自身の言葉で、これまでの私たちの関係と、これからのワクワクするような展望について語ってもらいました。
始まりは「飛び込み営業」
はじめまして。「みえるラボ」の岩本です。 私は2026年1月に歯科技工士として独立し、現在はキューアンドエー歯科医院にも週1回入り、様々なサポートを行っています。
内藤院長との出会いは2020年頃。当時の私は、新しく立ち上がった営業所のメンバーに抜擢され、1人で新規開拓を任されていました。右も左も分からない中で、とにかく件数を回る毎日。正直、余裕なんてなく、目の前の数字を追いかけることで精一杯でした。
そんな中で訪問させていただいたのが、キューアンドエー歯科医院でした。ちょうどそのころ、クリニックは開業準備の真っ最中でした。
最初に内藤院長とお会いした時の印象は、とにかく「柔らかい方だな」というものでした。これまでお会いしてきた先生方は、良くも悪くも職人気質で、はっきりとした物言いの方が多かったのですが、内藤院長はどこか空気が違う。こちらの話を遮らず、ゆっくりと聞いてくださる。その姿勢に、少し拍子抜けしたのを覚えています。
そしてその初対面の場で、院長は「SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)※」や「PLP(パーソナルライフタイムプラン)」といった考え方をお話しされていました。
※シェアードディシジョンメイキング(SDM)とは
医療者と患者さんが話し合って、一緒に答えをみつけていくこと。
正直なところ、「…何を言っているんだろう?」とポカンとしてしまったのが本音です。当時の私には、その考え方の深さまでは理解できていなかったと思います。
それでも、「他の先生とは違う」という強烈な感覚だけは、不思議と印象に残っていました。
院長と関わる中で少しずつ感じるようになったのは、 エビデンスを大切にしながらも、それだけではなく、目の前の患者さん一人ひとりとの関係性や納得感をとても大切にされているということでした。
数字や正しさだけではなく、その人にとっての「意味」を考える姿勢。 それは当時の自分にとって新しい視点であり、とても勉強になりました。
今振り返ると、その考え方に触れたことが、独立を考えるきっかけのひとつにもなり、現在の事業にも大きく影響を受けていると感じています。
ミスで失った信頼。そこから積み上げた関係性
その後、お取引が始まりましたが、決して順調なスタートではありませんでした。
私の確認不足から、納期の遅れや仕様の行き違いといった大きなミスを出してしまったこともありました。当時の自分は、余裕もなく、経験も浅く、正直いっぱいいっぱいでした。
それでも、「ここで終わりたくない、院長ともっといい仕事をしたい」という思いだけは強くありました。そこから私が意識したのは、シンプルに2つの行動です。
ひとつは、足を運ぶこと。できるだけ顔を出し続けること。
今振り返ると、とても泥臭いやり方だったと思いますが、 それでもとにかく通い続けることでしか、信頼は積み上がらないと感じていました。
もうひとつは、「院長の話を、本当の意味で最後まで聞き切ること」でした。
自分なりに決めていたルールは、「句点(。)まで待つ」ということです。
相槌は打ちながらも、途中で分かった気になって言葉を挟むのではなく、相手が話をすべて終えるまでじっくり聞き切る。それから、自分の中で一度整理して返すようにしていました。
最初にお会いした時、院長ご自身が私の話をそうやって最後まで聞いてくださっていたからこそ、自然と自分もそうありたいと思ったのかもしれません。
当たり前のことかもしれませんが、当時の自分にとっては、それを徹底するだけでも精一杯でした。
そうした打合せややり取りを重ねていく中で、少しずつ関係性が変わっていったように思います。
最初は正直、難しくて理解できなかった考え方も、院長のお話を聞く中で、少しずつ腑に落ちていきました。
「正しい」だけではなく、「納得できるかどうか」を大切にするという姿勢。
それは、今の自分の仕事の考え方にも強くつながっています。
独立、そして「みえるラボ」が目指す2つの視覚化
その後、私は独立し、「みえるラボ」を立ち上げました。
みえるラボでは、単なる技工物(被せ物や入れ歯など)の製造にとどまらず、歯科医院の事務局業務の代行やインプラント手術の現場補佐、そして患者さま向けの説明ツールの制作など、各医院ごとに必要なサポートを行っています。
この「みえるラボ」という屋号には、2つの「見える化」への思いを込めています。
ひとつは、裏方に回りがちな歯科技工士の価値を見える化し、現場の表舞台に立つモデルをつくること。
もうひとつは、歯科医院と患者様の間にある見えない壁を取り払い、双方が納得できる関係性を見える化することです。
独立を考えていた際、期待と同じくらい大きな不安を抱えていた私に、内藤院長はこんな言葉をかけてくださいました。
「どっちが正解かなんて、やってみなくちゃ誰にもわからないんだから。楽しい方を選べばいいよ」と声をかけてくださいました。
その言葉に背中を押され、今があります。
現在、キューアンドエー歯科医院は、これまでの枠を超え、地域にとって新しい価値を生み出す場へと進もうとしています。
私も一人のパートナーとして、その取り組みに関わりながら、 これからも院長とともに「楽しい方」を選び続けていきたいと思っています。

あとがき
岩本くん、熱い思いをありがとう。
出会ってからの5年間、本当に色々なことがありましたね。たしかに最初の頃はミスもありました。しかし、決して逃げずに毎日顔を出し、私の話を真摯に聞き続けてくれました。その実直な行動量と誠実な姿勢が、今の私たちの信頼関係の土台になっているんじゃないかと思います。
「一人ひとりの人生を応援する」という、当院が目指すビジョンは、目の前の患者様だけでなく、支えてくれるスタッフ、そして岩本くんをはじめとした外部の取引先の方々まで、当院に関わるすべての人の人生に向けられたものです。
立場に関わらず、一人ひとりが自分の可能性を信じて、豊かで幸せな人生を歩んでほしい。だからこそ、彼が独立という人生の新しい挑戦に向かう時も、私は心から「自分が楽しいと思う方を選んでほしい」と、その背中を応援しました。
これからキューアンドエー歯科医院は、これまでの歯科医院という枠を超え、地域全体を巻き込んだ新しいステージへと進みます。
岩本くんには、単なる歯科技工士という発注・受注の枠を飛び越え、このプロジェクトを共に推進し、お互いの人生を高め合っていく頼もしいパートナーとして、さらなる活躍を期待しています。
岩本くん、これからも関わるみんなを巻き込みながら、一緒に最高に「楽しいほう」を選んでいきましょう!
(内藤院長より)